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認知症

認知症とは

認知症とは記憶障害と思考力・判断力の障害、言動の変化などが生じ、日常生活や仕事に支障をきたす疾患です。最初に起こりやすい症状は物忘れです。最近のことを思い出せない場合は、認知症が疑われます。物忘れは誰にでも起こり得るものですが、通常の物忘れと認知症による物忘れは、全く異なります。例えば鍵を紛失した場合、通常の物忘れですと「鍵を置いた場所」を忘れます。一方、認知症の方の場合は、「鍵を紛失したこと」自体を忘れてしまいます。初期は「最近の出来事を忘れる」といった軽い症状で済みますが、進行するにつれて「昔の出来事が思い出せない」「言葉の意味が理解できない」「場所や人などの判断ができなくなる」「シチュエーションや環境に応じた行動ができない」などの症状が現れます。

認知症の原因と発症頻度

脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)や脳腫瘍、脳炎、脳の外傷などによる脳のダメージで発症するケースと、アルツハイマー病やレビー小体型認知症などの認知症性疾患によって発症するケースに分けられます。発症の割合ですが、50~60%がアルツハイマー型認知症で、20~30%が血管性認知症、10~20%がレビー小体型認知症、その他が10%と言われています。脳の老化に関わることから65歳以上の発症率が高く、患者数も増えつつあります。「認知症が疑われる方」も含めると、高齢者の「10人に1人弱」が認知症ではないかと言われています。認知症は加齢に伴って進行する疾患です。そのため早いうちから対処して進行を抑えていきながら、QOL(生活の質)を維持していく必要があります。

認知症の主な症状

認知症患者様に共通して発生する「中核症状」と、症状の現れ方が一人ひとり大きく異なっている「周辺症状」に分類されます

中核症状

認知症になると、脳の記憶や認知機能に関わる神経細胞が減少します。そのため、多くの方に共通して現れる症状があります。
中には自覚しにくく、周りの方が先に気付く症状も多くあります。「自分は病気にかかっている」と思わずに、心の問題だと思って抱え込んでいる方も少なくありません。以下のような症状に心当たりがありましたら、気兼ねなく当院へお越しください。

記憶障害

  • 会った人の名前を思い出せない
  • 食事したかどうかを忘れる
  • 物を置いた場所を忘れる、置いた事自体を忘れる
  • 慣れている道で迷う
  • 自分が何をしようとしていたのかを忘れる

見当識障害

  • 外出の支度ができない
  • 道に迷って自分の家に帰れなくなる
  • 約束の時間を忘れる
  • 季節や気温に合わない恰好をしている
  • 自宅のトイレやキッチン、風呂場、寝室などがどこにあるのか分からなくなる
  • 家族や親戚、友人など、親しい相手が誰なのか分からなくなる

判断・実行機能障害

  • 計画的な買い物が難しい、要らない物を購入してしまう
  • 料理ができなくなる

失語・失認・失行

  • 言葉をうまく話せなくなる
  • 長年行ってきた動作ができなくなる

病識欠如

  • 自身の疾患の症状が分からなくなる

周辺症状

現れ方やその内容が一人ひとり大きく異なる症状です。症状は、人間関係や心理状態、環境などによって変わります。
大きく分けると、「精神的な症状」と「行動的な症状」があります。

精神的な症状

  • 日付や時間、曜日、場所、人が分からなくなる
  • 現実にないはずの物が見えたり聞こえたりする
  • 非現実的な事を固く信じ込んでしまう
  • 物忘れがひどくなる
  • 判断力が衰える
  • 気分の落ち込み
  • 物事を理解したり考えたりするのが難しくなる
  • 簡単な足し算・引き算などができなくなる
  • 人違いしてしまう
  • 盗まれたと勘違いする

行動的な症状

  • 食べ物をうまく飲み込めない、むせやすくなる
  • 歩き回る、徘徊する
  • すぐに怒るようになった
  • 歩けなくなる
  • 睡眠障害(不眠など)
  • 暴力を振るう
  • 尿や便が出にくい、または失禁する
  • 便をいじる
  • 食べ物ではない物を食べようとする

認知症の治療

クリニック認知症の前段階にあたる「軽度認知障害」のうちに発見し治療を受ければ、認知症の進行スピードを和らげることができる可能性も高くなります。「最近、物忘れがひどくなったかな?」とお悩みでしたら、まず心療内科へ行くようにしましょう。
軽度認知障害の早期発見にも繋がります。また早期受診した結果、硬膜下血腫や軽い脳梗塞などが見つかり、重篤な発作が起こる前にそれらの治療を受けられた方もいます。
認知症を完治させる方法は、残念ながらまだ開発されていません。そのため薬物治療で、症状を抑えて進行を遅らせる必要があります。そのためにも、早期発見・早期治療は大切です。

ご家族へのケア

家族親戚介護される予定でいる方やご家族の方に、有効な対策などを伝えて参ります。
余計な刺激を与えないためのポイントや認知能力を高める方法なども指導していきます。
分からないことがありましたら気兼ねなくご相談ください。