自律神経失調症とは
睡眠不足や職場・家庭のストレス、ホルモン、食事の変化、冷え症などの環境の変化をきっかけに、自律神経のバランスが乱れて心身のバランスが崩れる状態です。疲れやすさや倦怠感、頭痛、便秘、下痢、動悸、喉の違和感、ほてり、痺れ、手汗、頻尿、残尿感などの身体的症状が現れるようになります。
自律神経失調症になると、自律神経は働いていてもバランスが悪くなってしまいます。そのため内臓の検査を受けても、神経や身体に悪影響を及ぼす疾患・異常が発見されません。
体内にある器官のほとんどは、交感神経と副交感神経のバランスが整っていれば、正常に働きます。しかしストレスなどで自律神経のバランスが乱れると、心身に色々な不調が現れます。
最近では、交感神経が過度に優位になり、副交感神経の働きが弱くなる方が多い傾向にあります。ストレスは心身を緊張させ続けてしまうため、交感神経を過度に優位にさせる原因にもなります。重症化すると、通勤や通学が難しくなるだけでなく、家事ができない、家に引きこもるなども起こります。症状がなかなか治らない場合は、当院までご相談ください。
自律神経失調症の症状
自律神経は体内の器官をコントロールする役割を担っているため、バランスが崩れると全身の機能に不調が生じます。症状が現れたかと思うと消え、消えたと思いきやまた再発し、別の箇所に症状が出現したり複数の症状が同時に表れたりすることもあります。
よくみられる症状は、下記の通りとなっています。
- 身体がだるい
- 疲れが溜まっている
- 片頭痛
- ひどい肩こり
- 動悸や息切れ、息苦しさがある
- 耳鳴り
- めまい
- 汗をよくかく
- 喉や口に不快感がある
- 冷え症
- 身体のほてり
- 手足のしびれ
- 不安感や焦燥感に襲われる
- 便秘や下痢
- 何度もトイレへ駆け込んでしまう、残尿感がある
など
自律神経失調症の原因
原因としては、生活習慣やホルモンバランスの乱れ、ストレスなどが挙げられます。
自律神経失調症の検査と診断
「自律神経失調症」は正式な疾患名ではありません。そのため、はっきりとした診断基準も定められていません。自律神経に症状がみられており、説明がつけられる疾患にかかっていない状態で、自律神経に症状が続いている（または消えたり再発したりする）場合は、自律神経失調症の診断をします。
逆に、自律神経に症状が現れる他の疾患が見つかった場合は、自律神経失調症ではないということです。
自律神経失調症の治療
薬物療法やカウンセリング、生活習慣の改善を行います。患者様によっては通院と薬物療法のみで、生活習慣の乱れやストレスが解消できることもあります。薬物療法においては、症状自体を和らげる薬を処方することもあります。主に、睡眠薬や抗不安薬をメインに処方していきますが、抗うつ薬で症状が落ち着く方もいます。
また、性格や考え方・捉え方の癖などによって、ストレスを感じやすくなっていることもあります。この場合はカウンセリングをお勧めしています。カウンセリングは、ストレスへの影響を減らすのに有効とされている療法です。
自律神経失調症のよくある質問
自律神経失調症かもしれません。何科へ行けばいいのでしょうか？
自律神経失調症でお悩みの場合は、精神科や心療内科などへ行くのが望ましいとされています。
ただしこれは、脳や内臓などの器質的な疾患・異常が隠れていないことを前提としています。
当院では診察で患者様の症状についてお聞きしてから、必要に応じて内科など他院へご紹介することも可能です。
症状はあるのに、内科の検査を受けても異常はないと言われました……。
自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類に分かれています。この2つの神経は、車のアクセルとブレーキのような役割を担っており、臓器及びあらゆる身体活動とリラックスのバランスを取りながら働いています。この2つのバランスが良いと、安定して身体機能が働きます。
しかし、自律神経失調症は、交感神経と副交感神経が動かなくなる疾患ではありません。精神や身体に関する神経がアクセルまたはブレーキを踏みすぎることでバランスがとりにくくなり、心身の症状が現れやすくなります。
自律神経失調症の原因について知りたいです。
ホルモンバランスの変化や生活習慣の乱れ、環境の変化、ストレスなどが原因になります。しかし「ストレスだと思っていないストレス」でも、身体に症状が現れるケースもあります。また、生まれつき虚弱体質の方は、症状が現れやすい傾向があります。色々な原因が重なることで症状が起こります。
他にも稀に、他の精神疾患の前兆として現れるケースもあります。診察では、このケースについても注意しながら、症状についてお伺いします。